生理痛の原因
生理は妊娠に備えて受精卵が着床しやすいように、子宮内膜を整える際に生じる現象です。妊娠が成立しないと、子宮の内側をおおっている内膜がはがれ、生理の時の出血が生じます。
この子宮内膜がはがれるときに生じるのが生理痛です。生理痛は、もともと細胞内に備わっている痛みの物質であるプロスタグランジンが、子宮内膜がはがれるのをきっかけに発現するために生じます。
したがって、剥がれ落ちる子宮内膜が厚くて多いほど出血量が多くなり、生理痛の程度もひどくなります。
プロスタグランジンは、子宮内膜に埋め込まれた「痛みの地雷」のようなものです。子宮内膜が厚いほど、地雷の数は増えます。そして、はがれおちる時(生理の時)に地雷が爆発するため、痛みが発動することになります。
生理痛の原因である子宮内膜を肥厚させているのは、エストロゲンという女性ホルモンです。エストロゲンの分泌は周期的に規則正しいリズムがあります。このリズムが崩れてエストロゲンが過剰に分泌されると、子宮内膜が分厚くなります。
つまり、生理痛の原因である子宮内膜を必要以上に肥厚させないためには、エストロゲンの分泌を整える方法を知っておくことが重要です。
このエストロゲンに影響しているのが脂質や糖質を含む食べ物です。生理の痛みを和らげるのにこれらの食べ物はどのように関わっているのでしょうか。
食べ物と生理痛の関係
上に述べたように、生理痛とエストロゲンの分泌量は関係があります。生理痛を少しでも和らげるためには、エストロゲンの分泌を整えることが重要です。
エストロゲンは食べ物の影響で過剰になる傾向があります。したがって、生理痛の痛みを和らげるヒントは食べ物にあります。普段の食べ物に気を付けることで、エストロゲンの分泌量を整えて、子宮内膜の肥厚を抑えて痛みの地雷の数を減らすことができるのです。
生理痛の原因となり得る食べ物は脂質と糖質です。この2つを利用して痛みを和らげることができます。その理由をみてみましょう。
エストロゲンは肝臓で分解されて体外へ排泄されますが、分解されないと体内に蓄積していくという性質があります。このエストロゲンの分解を邪魔するのが、脂質です。脂質の分解に肝臓がとらわれていると、エストロゲンの分解にまで手がまわりません。
肝臓で分解されなかったエストロゲンは、排泄されずに血液中にたまっていきます。この結果、エストロゲンの分泌量がそれほど多くなくても体内のエストロゲン濃度は高くなってしまうのです。
つまり、エストロゲンの蓄積を防ぐためには、脂肪分の多い食べ物を控えることです。そうすれば、子宮内膜の肥厚を防いで、生理痛を和らげることにつながります。
もう1つのポイントは糖質です。
実は、糖質を摂りすぎると、身体は余分な糖質を脂質へと変換してしまいます。「糖質の多い食べ物が、間接的にエストロゲンの蓄積を増やしてしまう」という結果をまねいてしまうのです
したがって、生理痛を和らげるもう1つのポイントは、糖質に偏った食べ物を避けるということです。
生理痛を和らげる食べ物とは
上記のように、脂質や糖質を減らすことが生理痛を和らげる可能性について述べました。では、具体的にどのような食べ物が良いか見ていきましょう。
生理痛のために避けた方が良い食べ物はいくつかあります。血糖値の急激な上昇をまねく「砂糖類」「アルコール」「果物」「炭水化物類」などの食べ物の摂りすぎは避けましょう。
また、食事の量や回数にも配慮する必要があります。生理痛がひどい場合は、「3度食べるものをしっかりとる」というよりは「一日を通じて、軽めに食べ物を4~5回とる」ことがよいでしょう。この方法も急激な血糖値の上昇を防ぐことができます。
もっとも生理痛に効果的なのは食物繊維を摂ることです。食物繊維は血糖値の急激な上昇を抑える作用があることに加え、腸に滞留して余分なエストロゲンを吸収して体外へ排泄してくれるからです。
この食物繊維の性質を利用して、生理痛を和らげることができます。
例えば、食物繊維を多く含む食品に「玄米」「オールブラン」「全粒粉」「豆類」「根菜類」などがあります。
生理痛が毎回ひどいことがわかっている場合は、これらの食べ物を子宮内膜が肥厚を始める生理開始1週間前から試してみましょう。そうすることで、エストロゲンの蓄積がリセットされて、生理痛を和らげることにつながります。
以上のように、脂質や糖質の多い食べ物を避けて食物繊維を積極的にとることが、生理痛を和らげてくれます。普段の食べ物を見直して、生理痛とうまく付き合いましょう。